4月から始まる日本の新年度。入学や入社、異動など、新しい環境に身を置く人が多いこの時期は、期待と緊張が入り混じる独特の空気があります。しかし、その緊張感が少しずつ解けてくる5月。連休が明けた頃から、「なんだかやる気が出ない」「学校や仕事に行きたくない」と感じる人が増えてきます。このような心身の不調を、一般的に「五月病」と呼びます。
五月病という言葉は正式な医学用語ではなく、特定の診断名があるわけではありませんが、現代社会では誰にでも起こり得る身近な問題です。
【五月病の原因】
五月病の主な原因は「ストレス」です。特に以下のような要因が影響するとされています。
◎環境の変化によるストレス
新生活が始まり、慣れない環境で人間関係や仕事・学業に気を配る毎日は、想像以上にエネルギーを消耗します。
◎ゴールデンウィーク明けの反動
4月から頑張ってきた心と体が、連休によって一度リラックスし、その後また日常に戻ることが億劫に感じられることがあります。
◎理想と現実のギャップ
新生活に抱いていた期待と、実際に直面する現実との間にギャップがあると、自信をなくしたり、無力感を感じたりしやすくなります。
【五月病の主な症状】
五月病の症状は人によって異なりますが、以下のようなサインが現れることがあります。
◎やる気が出ない、無気力になる
◎気分が沈みがちで、理由もなく憂うつ
◎睡眠の質が悪くなる（寝つきが悪い、眠りすぎる）
◎食欲が落ちる、または過食になる
◎人と会いたくなくなる
◎頭痛や腹痛など、身体的な不調が続く
これらの症状は、一時的であれば問題ありませんが、2週間以上続くようであれば、注意が必要です。
【五月病への対処法】
◎生活リズムを整える
起床・就寝の時間を一定にし、バランスのとれた食事を心がけましょう。軽い運動もストレス解消に効果的です。
◎「頑張りすぎない」ことを意識する
すべてを完璧にこなそうとせず、「今日は60％の力でOK」と思うくらいがちょうどいい場合もあります。
◎自分の気持ちを言葉にする
友人や家族、信頼できる同僚に、感じていることを話してみましょう。話すことで気持ちが整理されることもあります。
◎専門機関に相談する
状態が長引いたり、日常生活に支障をきたすようであれば、心療内科やカウンセリングを利用するのも一つの選択です。
五月病は、誰にでも起こり得る心と体からのSOSです。大切なのは、自分を責めず、まずは自分の状態に気づき、いたわることです。「みんなが頑張っているから」と自分に無理をさせず、あなた自身のペースで進んでいきましょう。
