五十肩(正式名称:肩関節周囲炎)は、40代から50代を中心に発症しやすい肩の痛みや可動域の制限を伴う疾患です。日常生活に支障をきたすことも多く、特に腕を上げる、背中に手を回すなどの動作が困難になることが特徴です。
【五十肩の原因】
五十肩の明確な原因は未だ解明されていませんが、以下のような要因が関係しているとされています。
◎加齢による変化
加齢とともに、肩関節を構成する筋肉や腱が弱くなり、炎症が発生しやすくなることがあります。
◎肩の使い過ぎや使わなさすぎ
同じ動作を繰り返すことで肩の筋肉や腱に負担がかかる一方、長時間の運動不足や姿勢不良も肩関節の硬直を招きます。
◎血行不良
肩周辺の血行が悪くなると、組織の修復や代謝が妨げられ、炎症が起こりやすくなります。
◎生活習慣病との関連
糖尿病や甲状腺の異常など、代謝系の疾患があると五十肩を発症しやすいと言われています。
【五十肩の主な症状】
五十肩の症状は進行性で、以下の3つの段階に分けられることが一般的です。
◎急性期(痛みの段階)
肩を動かす際に鋭い痛みが生じ、夜間に痛みが増すこともあります。
腕を挙げたり後ろに回す動作が特に困難です。
◎慢性期(硬直の段階)
痛みは次第に落ち着きますが、肩の可動域が制限されるようになります。
例えば、服を着替えたり髪を結ぶといった動作が難しくなります。
◎回復期
症状が徐々に改善し、肩の動きや痛みが和らぎます。完全に回復するまでには数ヶ月から1年以上かかる場合があります。
【五十肩の治療法】
五十肩の治療には、症状や進行具合に応じてさまざまな方法があります。
◎安静と生活指導
肩を無理に動かさず、炎症がひどい場合は安静を保つことが重要です。
◎薬物療法
痛みや炎症を軽減するために、消炎鎮痛薬や筋弛緩剤が処方されることがあります。
◎リハビリテーション
物理療法やストレッチ、筋力トレーニングを行い、可動域の回復を目指します。
専門の理学療法士の指導を受けることをお勧めします。
◎注射療法
ステロイド注射やヒアルロン酸注射を用いて、痛みや炎症を緩和します。
◎手術
稀なケースでは、関節鏡手術などの外科的治療が必要になることもあります。
【五十肩を予防する方法】
五十肩を完全に防ぐことは難しいですが、日頃から以下の習慣を取り入れることで発症リスクを軽減できます。
◎適度な運動
肩関節を適度に動かすエクササイズやストレッチを日課にすることで、筋肉や関節の柔軟性を維持します。
例えば、腕をゆっくりと大きく回す「肩回し運動」や壁を使ったストレッチがお勧めです。
◎姿勢改善
デスクワークなどで前かがみになりがちな姿勢を改善し、肩への負担を減らします。
正しい姿勢を意識するだけで肩周辺の血流が良くなり、炎症を予防できます。
◎ストレスの管理
ストレスがたまると血行不良や筋肉の緊張が引き起こされやすくなります。リラクゼーションや趣味の時間を取り入れましょう。
◎生活習慣の見直し
バランスの取れた食事を心がけ、肥満や生活習慣病を予防します。また、喫煙は血行不良を招くため禁煙を推奨します。
五十肩は多くの人が経験する可能性のある症状ですが、早期の対処と予防で症状を軽減し、日常生活の質を向上させることができます。痛みを我慢せず、専門医などに相談することをためらわないでください。適切なケアで健康な日々を取り戻しましょう。